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小児急性中耳炎診療ガイドライン 【治療の標準化および耐性菌の減少に貢献】

No.4821 (2016年09月17日発行) P.61

安井拓也 (帝京大学耳鼻咽喉科講師)

登録日: 2016-09-21

最終更新日: 2016-10-06

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小児の急性中耳炎は,日常診療でよく遭遇する急性感染症のひとつであるが,以前は抗菌薬の選択・鼓膜切開などを含む治療方法については,医師の経験に任されていた。しかし,不適切な抗菌薬の選択によると考えられる耐性菌の増加が問題となり,2006年に初めて「小児急性中耳炎診療ガイドライン」が策定された。同ガイドラインは,迅速細菌検査キットの登場や新規抗菌薬の登場もあって09年,13年に改訂されている。

ガイドラインでは,鼓膜所見などから重症度分類を行い,治療法の選択を行う。まず,耳痛・発熱・啼泣・鼓膜の発赤・膨隆・耳漏から重症度スコアを計算する。軽症例(スコア5点以下)では抗菌薬非投与で3日観察し,改善なければAMPC常用量から始め3日間投与する。改善具合により常用量継続,AMPC高用量,CVA/AMPC,CDTR-PI常用量から選択し,経過によりさらに高用量としていく。中等症(スコア6~11点)ではAMPC高用量から開始し,3日後改善なければCVA/AMPC,CDTR-PI高用量,鼓膜切開+AMPC高用量から選択,さらに3日後改善がなければ鼓膜切開+CVA/AMPC(またはCDTR-PI高用量),TBPM-PI常用量,TFLX常用量から選択する流れとなる。重症例(スコア12点以上)では初めからAMPC高用量,CVA/AM PC,CDTR-PI高用量から選択して投与を開始し,3日後改善がなければ中等症の第3段階と同様に,さらに改善がなければ鼓膜(再)切開+TBP M-PI常用量(またはTFLX常用量),ABPC(またはCTRX)抗菌薬点滴から選択する流れとなる。

本ガイドラインにより,治療のスタンダード化が図られるとともに耐性菌の減少が期待される。

【解説】

1)安井拓也,2)伊藤 健 帝京大学耳鼻咽喉科 1)講師 2)教授

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