総胆管結石は,胆汁に含まれる成分が凝縮され結晶化し,総胆管にできた結石である。胆石にはできる部位により,総胆管結石のほかに,胆囊結石,肝内結石がある。総胆管結石が胆道に引っかかると痛みが生じる。また,結石により胆管が閉塞すると,黄疸や急性胆管炎を起こすことがある。総胆管結石によりこれらの症状を呈したものが,総胆管結石症である。たとえ無症状であっても,急性胆管炎の合併により重症化して致命的になる可能性もあるので,治療を行うことが勧められる。
総胆管結石の症状は,腹痛や背部痛のほか発熱,黄疸,悪心・嘔吐などが一般的であるが,無症状のこともある。腹痛,発熱,黄疸を呈するものはCharcot(シャルコー)の三徴と呼ばれ,これに加えて意識障害とショックをきたした病態はReynolds(レイノルズ)の五徴と呼ばれる。
血液・生化学検査では,黄疸の有無や胆道系酵素の上昇および肝機能をチェックする。炎症反応の上昇があり胆管炎と診断されれば,早急に治療にあたる。臨床症状や血液・生化学検査で総胆管結石が疑われたら,腹部超音波検査(腹部ultrasonography:腹部US)に続いて,CT,MR胆管膵管造影(MR cholangiopancreatography:MRCP)などの検査を施行することが勧められる。超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography:EUS)は,内視鏡を使用したやや侵襲的な検査であるが,総胆管結石に対する診断能が高い。解像力が最も優れており,CTやMRCPなどの他の検査で診断がつかない場合に利用する。
CT,MRCP,EUSでも結石が描出できない場合は,次に行うべき検査として内視鏡的逆行性胆管膵管造影(endoscopic retrograde cholangiopancreatography:ERCP),管腔内超音波検査(intraductal ultrasonography:IDUS),経皮経肝胆道造影(percutaneous transhepatic cholangiography:PTC)が挙げられる。これらのモダリティーは小結石の描出も良好であるが,侵襲的な検査であり,必要な症例のみに治療を前提として行うべきである。
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