政府の全世代型社会保障構築会議は5月17日、議論の中間整理を公表した。機能分化と連携を重視した医療・介護提供体制の改革の一環として、かかりつけ医機能が発揮される制度の整備を提言。高齢者人口が増加から減少に転じ、生産年齢人口が急減する2040年を見据え、地域医療構想をバージョンアップするべきとの考えも示した。
全世代型社会保障の構築に向けた検討の進め方について中間整理は、人口構造が大きく変化する40年頃を視野に入れつつ、短期的・中長期的課題に「時間軸」を持って計画的に取組むとともに、社会保障ニーズや活用できる資源が地域ごとに大きく異なることを踏まえた「地域軸」を意識した対策も講じていく必要があると指摘した。
こうした背景を考慮し、医療・介護・福祉サービスではまず、「地域完結型」の医療・介護提供体制の構築に向け、地域医療構想の推進、地域医療連携推進法人の活用、地域包括ケアシステムの整備などを都道府県のガバナンス強化などと関連する医療保険制度等の改革と併せて、これまでの骨太の方針や改革工程表に沿って着実に推進していくべきだと提言。かかりつけ医機能が発揮される制度整備を含め、機能分化と連携をいっそう重視した医療・介護提供体制等の改革に取組む姿勢を示した。
関連して25年までの取組となっている地域医療構想については、24年度からの「第8次医療計画」の策定に合わせ、かかりつけ医機能や在宅医療等も対象に取り込み、しっかり議論を進めた上で、40年に向けたバージョンアップを行う必要があるとした。
このほか、▶健康データや電子カルテ情報の活用に向けたオンライン資格確認等の環境整備の着実な推進、▶個人・患者の視点に立ったデータ管理に関する議論、▶社会保障全体のDXの推進、▶医療・介護・福祉サービスにおけるICT化の活用や資格の養成課程の見直し、▶処遇改善を勘案したタスクシェア・タスクシフティング、▶経営の大規模化・協働化の推進―などを通じて、医療・介護サービスの質の向上、人材配置の効率化、働き方改革の実現を目指すことも提言した。