厚生労働省の患者申出療養評価会議は9月21日、「患者申出療養」の第1例目となる医療技術を承認した。対象技術は、東京大学医学部附属病院が申請していた「腹膜播種陽性または腹腔細胞診陽性の胃がん」に対するパクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与並びにS-1内服併用療法。厚労省は申請を受理した9月7日から6週間以内に官報告示する方針だ。
患者申出療養は「困難な病気と闘う患者の思いに応えるため、先進的な医療について、患者の申出を起点とし、安全性・有効性等を確認しつつ、身近な医療機関で迅速に受けられるようにする」仕組み。新たな保険外併用療養費制度として、今年4月から導入された。
同療法は「先進医療」で既に実施されており、特に予後の悪い病態への治療として期待されている。しかし、76歳以上や遠隔転移がある場合は受けられないなどの基準が設けられているため、今回申出が行われた。早ければ告示後の10月中旬以降から東大病院を中心に行われ、年間100人が治療を受ける予定。
懸念される保険適用外の費用については、平均的な治療で合計44万6000円。保険診療と合わせた平均的な総額は自己負担3割の場合、1コース(3週間)当たり約7万円 となる。