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【他科への手紙】神経内科→整形外科

No.4823 (2016年10月01日発行) P.55

藤本健一 (自治医大ステーション・ブレインクリニックCEO)

登録日: 2016-10-04

最終更新日: 2016-10-18

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  • 2007年に日本整形外科学会が提唱した運動器症候群(ロコモティブシンドローム)の原因として、「運動器自体の疾患」と「加齢による運動器機能不全」が注目されていますが、一方で「病気による運動器機能不全」があることも忘れないで下さい。中でもパーキンソン病(PD)は動作が拙劣になりますが、筋力低下を伴わないことが多いので注意が必要です。

    運動症状を伴うPDの患者さんは、最初に整形外科を受診することが少なくありません。しかし、整形外科で診断に至るケースは少ないようです。PDは治療開始が遅れると、何年経っても早期治療開始群に治療効果が追いつかないため、早期診断・早期治療が大切とされています。ロコモで受診した患者さんの中にPDが潜んでいないか、ぜひご確認下さい。

    PDでは、神経細胞内での代謝障害の結果、処理できなくなったα─シヌクレインが凝集してレビー小体が蓄積します。中脳黒質のドパミン細胞にレビー小体が蓄積すると、ドパミンが作れなくなり、PDを発症します。4大症状は、①動作緩慢、②筋強剛(他動的に関節を屈伸するときの抵抗)、③静止時振戦、④姿勢反射障害(転びやすさ)、です。このほか、⑤同時に2つの動作をする能力の低下、⑥自由なリズムで運動する能力の障害、を加えるとほぼすべての運動症状が説明できます。症状は左右どちらか片側から発現し、ゆっくりと対側へ進展しますが、何年経過しても左右差を認めるのが一般的です。

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