筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)は上位,下位運動ニューロンが主として障害される疾患で,多くは50歳代以降に発症する。わが国では約1万人が罹患し,毎年2000~3000人の新規発症者がいる。約10%は家族性であるが,大部分は孤発性である。四肢のいずれかの部位の筋力低下で発症することが多いが,約1/4は球麻痺で発症し,また稀に呼吸筋麻痺で発症する場合もある。
確定した診断バイオマーカーはなく,月単位あるいは進行が速い場合は週単位で筋力低下,運動機能障害が進行する。診察の際,四肢体幹に骨格筋の筋萎縮や,四肢・舌に筋線維束攣縮(fasciculation)を認め,深部腱反射の亢進が認められれば,臨床的にALSの可能性が高い。また,これらの所見を説明しうる内科的な検査異常や頸椎病変,腰椎病変などのMRI画像所見がなければさらに可能性が高い。しかし,診断確定のためには針筋電図検査を要する。
残り1,624文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する