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抗微生物薬の適切な投与量と投与回数はどのように考えたらよいか?

No.5127 (2022年07月30日発行) P.52

手塚宜行 (岐阜大学医学部感染症寄附講座特任教授)

庄司健介 (国立成育医療研究センター 小児内科系専門診療部感染症科医長)

登録日: 2022-07-27

最終更新日: 2022-07-26

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  • 薬剤耐性対策として,抗微生物薬の適切な使用が求められています。抗菌薬適正使用支援での推奨に重要となる適切な投与量と投与回数について,抗微生物薬の薬効と薬物動態(pharmacokinetics:PK)/薬力学(pharmacodynamics:PD)パラメーターとの相関からご教示下さい。
    国立成育医療研究センター・庄司健介先生にお願いします。

    【質問者】

    手塚宜行 岐阜大学医学部感染症寄附講座特任教授


    【回答】

     【抗菌薬の効果に関するパラメーターとしてCpeak/MIC,TMIC,AUC/MICがある】

    抗微生物薬の適切な使用を考えるにあたっては,PKとPDについて理解する必要があります。PKは薬物血中(または組織中)濃度の時間的推移のことで,薬物の種類,投与量,投与間隔,投与速度,患者の状況(腎機能,肝機能,炎症の有無など)により異なります。PDは血中(組織内)濃度推移と効果,または副作用との関係を表します。

    PDと関連するパラメーターとしては,抗菌薬の最高血中濃度(Cmax)または組織中濃度が最高時の血中濃度(Cpeak)と治療対象としている細菌の最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration:MIC)の比であるCmax/MICやCpeak/MIC,血中濃度がMICを超えている時間の長さを示すtime above MIC(TMIC),血中濃度の時間的推移曲線の下の部分の面積(area under the time-concentration curve:AUC)とMICの比であるAUC/MICがあります。そして,抗微生物薬の種類によってどのパラメーターが治療効果とよく相関するかが決まっています。

    たとえば,ペニシリン系,セフェム系などのβラクタム系抗菌薬はTMICが,バンコマイシンなどのグリコペプチド系抗菌薬はAUC/MICが,ゲンタマイシンなどのアミノグリコシド系抗菌薬はCpeak/MICが治療効果と関連することがわかっています。そうすると,おのずと適切な投与設計が見えてきます。

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