【質問者】
手塚宜行 岐阜大学医学部感染症寄附講座特任教授
【抗菌薬の効果に関するパラメーターとしてCpeak/MIC,TMIC,AUC/MICがある】
抗微生物薬の適切な使用を考えるにあたっては,PKとPDについて理解する必要があります。PKは薬物血中(または組織中)濃度の時間的推移のことで,薬物の種類,投与量,投与間隔,投与速度,患者の状況(腎機能,肝機能,炎症の有無など)により異なります。PDは血中(組織内)濃度推移と効果,または副作用との関係を表します。
PDと関連するパラメーターとしては,抗菌薬の最高血中濃度(Cmax)または組織中濃度が最高時の血中濃度(Cpeak)と治療対象としている細菌の最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration:MIC)の比であるCmax/MICやCpeak/MIC,血中濃度がMICを超えている時間の長さを示すtime above MIC(TMIC),血中濃度の時間的推移曲線の下の部分の面積(area under the time-concentration curve:AUC)とMICの比であるAUC/MICがあります。そして,抗微生物薬の種類によってどのパラメーターが治療効果とよく相関するかが決まっています。
たとえば,ペニシリン系,セフェム系などのβラクタム系抗菌薬はTMICが,バンコマイシンなどのグリコペプチド系抗菌薬はAUC/MICが,ゲンタマイシンなどのアミノグリコシド系抗菌薬はCpeak/MICが治療効果と関連することがわかっています。そうすると,おのずと適切な投与設計が見えてきます。
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