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「コロナ疑い対応」「自宅療養者等へのオンライン診療」の診療報酬特例が9月まで延長【まとめてみました】

No.5128 (2022年08月06日発行) P.14

登録日: 2022-08-03

最終更新日: 2022-08-03

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8月に入っても新型コロナウイルス「第7波」の勢いは止まらず、新規陽性者は増加を続け、東京都では1日の新規陽性者数が5万人に達することも現実味を帯びてきている状況だ。多くの都道府県で発熱外来がパンク状態にあり、病床使用率も危険水域に達しようとしている。こうした状況を受け、厚労省は医療機関のインセンティブとなる診療報酬の臨時特例の期間を9月末まで延長するなど、医療提供体制の確保に向けた対策を講じている。

コロナ疑い患者対応は550点の上乗せ継続

新型コロナウイルス感染症の第7波対応として、厚労省が7月22日の事務連絡で全国に算定期限を9月末まで延長すると通知したのは、診療報酬の臨時特例として運用されている①新型コロナ感染症疑い患者に外来診療を行った場合の「二類感染症患者入院診療加算」(250点)、②自宅・宿泊療養で重症化リスクの高い者に対し、電話・情報通信機器を用いて新型コロナ感染症にかかる診療を行った場合の「電話等による療養上の管理に係る点数」(147点)─の2つ。

事務連絡では、新型コロナ感染症疑い患者対応における「二類感染症患者入院診療加算」について、「8月1日から9月30日まで」の間、診療・検査医療機関で患者の傷病に対し医学的に初診といわれる診療行為がある場合に同加算を算定できるとしている。これに加え、新型コロナ感染症疑い患者については、必要な感染予防策を講じた上で外来診療を実施した場合、「院内トリアージ実施料」(300点)との併算定も可能なため、要件を満たせば9月末まで合計550点の上乗せが可能になる。

重症化リスクのある者へのオンライン診療の上乗せ特例も継続

自宅・宿泊療養者にオンライン診療を実施した場合、通常の再診料などに上乗せ加算ができる特例も9月末まで期限が延長される。現行は7月末までの特例として、自宅・宿泊療養をしている重症化リスクの高い者に対し、一定の要件を満たした医療機関が、電話・情報通信機器を用いてコロナ感染症にかかる診療を行った場合に、通常の点数に加え「電話等による療養上の管理に係る点数」(147点)の算定が認められている。今回の延長は、オミクロン株による自宅・宿泊療養者の増加に伴い、発熱外来や病床の逼迫を避けるため、重症化リスクのある者にオンライン診療を活用した医学的管理の実施を促す狙いがある。重症化リスクのある者とは、2月9日の事務連絡「新型コロナウイルス感染症対応に係る保健所等による健康観察等について」の「重点的に健康観察を行う対象」の要件として挙げられている①65歳以上、②40歳以上65歳未満で重症化リスク因子(ワクチン未接種、ワクチン接種1回、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、慢性腎臓病、悪性腫瘍、BMI30以上の肥満、喫煙、固形臓器移植後の免疫不全)に複数該当、③妊娠している─のいずれかを満たす場合。

7月22日の事務連絡では、自宅・宿泊療養者に対して電話・情報通信機器を用いた診療を行った場合、「二類感染症患者入院診療加算」(250点)の算定も可能との取り扱いを示しており、「電話等による療養上の管理に係る点数」(147点)と合わせ397点の上乗せが可能になる。

抗原検査キットによる検査結果を患者が持参した場合の算定ルールも明確化

政府は発熱外来の逼迫を避ける狙いから、抗原定性検査キットの無料配布場所を拡充する方針を示している。発熱外来に加え、自治体の窓口や薬局、郵送でも入手可能となる。こうした状況を受け厚労省は、抗原定性検査キットを巡る診療報酬上の取り扱いについても整理。患者自身が「受診前」に無料配布された抗原定性検査キット等を用いて検査を実施し、診療・検査医療機関に検査結果を持参、医療機関の医師が当該検査結果に基づいて診療を行う場合、「検体検査実施料」「検体検査判断料」についての算定はできないとした。ただし、診療・検査医療機関において医師が必要と判断した上で検査を実施、患者が検査結果を持参した場合は算定できる。

患者が検査キットを持参して診療を行うケースであっても、初診料などの基本診療料や、必要な医学的管理を実施した場合の医学管理料などは通常通り算定できる。

濃厚接触者の検査期間を最終曝露から3日に短縮

感染拡大局面において医療提供体制を維持するために最も重要といえる医療従事者の確保についても、新たな取り扱いが示された。

濃厚接触者の自宅待機期間について、①原則5日間(6日目の解除)、②無症状・ワクチン接種完了・2日目および3日目の陰性確認等の要件を満たせば3日目に解除を可能─とした上で、医療従事者の濃厚接触者について「毎日の検査を求める期間」を従前の「最終曝露から5日間」を「3日間」に短縮。感染対策が求められる期間は7日間を維持する方針を示した。

今後も感染状況に応じて、特例の継続や新たな取り扱いが示されることが予想されるため、厚労省の事務連絡のサイトなどを定期的にチェックすることをおすすめしたい。

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