厚生労働省は8月3日の中央社会保険医療協議会総会に、看護の処遇改善に関する個別改定項目を提示した。有力視されていた試算2モデルのうち、入院にのみ細分化した点数を設定するモデルを採用。入院患者を対象に「看護職員処遇改善評価料」を新設する。各側から特段、反対する意見は出なかった。
「看護職員処遇改善評価料」の施設基準で、医療機関の要件は、▶「救急医療管理加算」の届出施設で、年間救急搬送件数が一定件数以上、▶救命救急センターなどのセンターを設置―のいずれかを満たすことと規定。救急搬送件数の実績対象期間は、賃金改善実施年度の前々年度1年間とする。仮に基準が満たせなくなっても、賃金改善実施年度の連続する数カ月間の実績が一定件数以上であれば基準を満たしているものとして取り扱う。
算定を希望する医療機関は「看護職員等の賃上げ必要額」を「延べ入院患者数」で除して求めた値に応じて算定区分を選択し、届出を行う。値の算出とそれに基づく算定区分の判定は数カ月ごとに実施。算定区分に変更がある場合は届出を求めるが、算出に用いる直近数カ月間の「看護職員等の数」や「延べ入院患者数」、算出した値のいずれの変動も一定割合以内に収まる場合については区分の変更を不要とする。
賃金の処遇改善対象者は看護職員等とし、医療機関が実情に応じてコメディカルなどを追加することを認める。安定的な賃金改善を確保する観点から、当該評価料による賃金改善の合計額の2/3以上は基本給の引き上げなどのベースアップに充当しなければならない。
答申に向けて最終的な調整が行われる、看護職員等数と延べ入院患者数の実績対象期間などについて、診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、直近3カ月の平均値を用いて3カ月ごとに算定区分判定のための計算を行い、変動が1割以内の場合は区分変更を不要とする扱いが適当と提案。支払側の松本真人(健康保険組合連合会理事)は、賃上げ必要額が突出して高い外れ値の医療機関の対応について、「点数の刻みを少し大きくしてもいいのではないか」と発言。前回の総会では最高必要額まで1点刻みで点数設定するよう求めていたが、幅を持たせた設定が望ましいとする診療側の主張に歩み寄りを見せた。