岸田文雄首相は9月6日、新型コロナウイルス感染症について記者会見し、9月26日から全国一律で療養の考え方を転換し「全数届出」を見直すとともに、オミクロン株対応ワクチンの接種を9月から前倒しして開始する考えを表明した。
これを受け、政府の新型コロナ対策本部は9月8日、①療養の考え方の転換・全数届出の見直し、②全国民を対象としたオミクロン株対応ワクチンの接種促進、③陽性者の自宅療養期間の見直し─を柱とする「Withコロナに向けた政策の考え方」を決定した。
6日の会見で岸田首相は「(軽症者等が安心して自宅療養できるようにするための)環境整備にメドが立ち、全国的に感染者の減少傾向が確認されたことから、必要なシステム改修を経て、9月26日より全国一律で療養の考え方を転換し、全数届出を見直す」と明言。その一方で、感染者の総数の把握(全数把握)は引き続き行う考えを示した。
オミクロン株対応ワクチンについては、「12歳以上を対象に9月から前倒しして接種を開始する」「年末年始に備え、山場となる10月から11月にかけて1日100万回を超えるペースの態勢を整備しワクチン接種を加速していく」と述べた。
対策本部が8日に決定した「政策の考え方」のうち「療養の考え方の転換・全数届出の見直し」では、患者発生届出の対象を「65歳以上の者」「入院を要する者」「重症化リスクがあり治療薬の投与等が必要と医師が判断する者」「妊婦」の4類型に限定。感染者数については、HER-SYS の追加機能により医療機関の患者数と健康フォローアップセンターの登録者数を集計することで「全数把握」を継続するとしている。
「オミクロン株対応ワクチンの接種促進」では、「10月半ば」をメドに全国民(12歳以上の初回接種完了者)を対象に接種を開始する方針を示しつつ、輸入等の一部前倒しで順次国内配送可能となるワクチンを活用して「9月半ば過ぎ」に重症化リスクがある者などへの接種を前倒しして開始するとしている。
「陽性者の自宅療養期間」については、欧米のルールや専門家の意見を踏まえ、有症状者は従来の「発症から10日間」を「発症から7日間」(現に入院している場合は10日間)に、無症状者は「検体採取から7日間」を「5日目の抗原定性検査キットによる検査で陰性だった場合は5日間」に短縮する扱いを9月7日から適用するとした。