C. trachomatisは子宮頸管に感染し,上行感染によって子宮内膜,子宮付属器,腹腔内へと広がる。女性の性感染症で最も多い疾患であり,帯下異常,出血をきたし,腹膜炎まで広がると下腹部痛や右季肋部痛に至ることがある。不妊や異所性妊娠の原因となり,オーラルセックスによる咽頭感染も多い。淋菌感染症との合併にも注意が必要である。
子宮頸管分泌物もしくは尿道分泌物を用いた病原体診断が有用である。淋菌感染症との混合感染があることから,淋菌とクラミジアの同時検出キットが普及している。子宮頸管炎の段階での診断は容易であるが,腹腔内への上行感染では診断は難しくなる。
マクロライド系もしくはニューキノロン系の抗菌薬投与が有効である。若年層のクラミジア感染者は薬の飲み忘れなどコンプライアンスが悪いことがあるため,単回投与(アジスロマイシン1000mgの1回内服)が有効である。妊婦でも性器クラミジア感染症の診断がついたらマクロライド系抗菌薬(アジスロマイシンのほうがクラリスロマイシンよりも危険性が低い)の投与を行う。
一手目 :ジスロマック®250mg錠(アジスロマイシン水和物)1回4錠(単回)
二手目 :〈他の選択肢として〉クラリス®200mg錠(クラリスロマイシン)1回1錠1日2回(朝・夕食後)7日間,またはクラリシッド®200mg錠(クラリスロマイシン)1回1錠1日2回(朝・夕食後)7日間
三手目 :〈他の選択肢として〉ミノマイシン®50mg錠(ミノサイクリン塩酸塩)1回2錠1日2回(朝・夕食後)7日間
一手目 :ミノマイシン®注(ミノサイクリン塩酸塩)1回100mg 1日2回(静注)3~5日間
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