サル痘(monkeypox)は,オルソポックスウイルス属のサル痘ウイルス感染症で,1970年にヒトでの感染が発見されて以来,中央アフリカから西アフリカにかけて流行しています。2022年以降(多くは5月以降),欧州中心に世界的な流行を起こしています。
2022年9月15日時点で,102の国と地域で5万2996例の確定例,18例の死亡例(ガーナ4例,ナイジェリア4例,スペイン2例,ブラジル2例,中央アフリカ2例,ベルギー1例,キューバ1例,エクアドル1例,インド1例)が報告されています1)。世界的な流行を受け,WHOはサル痘の流行がPHEIC(public health emergency of international concern,国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態)となるかどうかについて検討を開始しました。2022年6月23日に行われた緊急委員会では先送りとなり,2022年7月21日に行われた緊急委員会で,メンバーの意見は一致しませんでしたが事務局長の判断でPHEICと宣言されました。
日本では,感染症法上の4類感染症に指定されており,全数届け出疾患です。日本国内では集計の開始された2003年以降,これまでは輸入例を含めサル痘患者の報告はありませんでした。今回の流行で,2022年9月15日時点で,日本でも4例の報告がありました(表1)2)。
今号では,明らかになってきた今回の流行におけるハイリスクグループについて解説します。
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