群発頭痛の有病率は約0.07~0.09%,男女比はおよそ3:1で,発症年齢は20歳代後半~40歳に多いと言われている。群発頭痛は一側の眼窩,眼窩周囲および側頭部などに出現し,非常に激しい痛みであることが特徴とされている。持続時間は15~180分で,片頭痛と比べ短く,頭痛と同側に流涙・結膜充血・鼻閉・鼻汁,前額と顔面の発汗,縮瞳・眼瞼下垂,眼瞼浮腫などの自律神経症状が出現する。また,群発頭痛では発作中に落ち着きなく動き回ることも特徴である。
国際頭痛分類の診断基準により群発頭痛を診断する1)。就寝後,連日のように,一側性で眼窩周囲を中心に目がえぐられるような痛みを自覚する症例では,群発頭痛を疑う。頭痛と同側の結膜充血,鼻閉と鼻汁分泌,ホルネル症候群など自律神経症状を伴うことが多く,発作は飲酒により誘発される。二次性頭痛との鑑別に神経学的診察,血液検査,画像検査などを行う必要がある。
群発頭痛の誘発および増悪因子としては,アルコール飲料,ニトログリセリン,ヒスタミンなどが挙げられている。このため,飲酒習慣のある群発頭痛患者には発作予防として飲酒を避けるように指導し,その後薬物療法を開始する。薬物療法では頭痛の痛みを改善させる急性期治療薬および発作を起こりにくくする予防薬がある2)。群発頭痛の治療に際しては,急性期治療薬および予防薬の両方を処方することが多い。
急性期治療としてトリプタン系薬および酸素投与がある。トリプタン系薬の中で群発頭痛急性期には,スマトリプタン皮下注射(1回3mg)およびスマトリプタン点鼻液(1回20mg/dose)による鼻腔内投与がよく用いられる。しかし,わが国では点鼻液による鼻腔内投与は群発頭痛に対し保険適用外である。スマトリプタン製剤には錠剤,点鼻液および注射液があるが,注射液投与後に経口薬あるいは点鼻液を追加投与する場合には1時間以上,経口薬投与後に注射液を追加投与する場合,点鼻液投与後に注射液を追加投与する場合には2時間以上間隔をあけることとされている。
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