医療従事者が通常と変わらない診療を行っていても,診療に納得せず不満を抱いている患者にとってはその不満がうっ積して診療費未払いという行動をとる場合があります。
会計担当 :2回分の診療費が未払いとなっておりますが,今日はお支払い頂けますか?
患 者 :私の不満が解消されない限り払いたくありません!
会計担当 :何か不満なことがあるのでしたら,担当医に相談されてはいかがでしょうか?
患 者 :担当医に話をしても,いつもはぐらかされてきちんと説明してくれないんだ。
会計担当 :そうでしたか……。担当医には事務からも伝えておきますが,このまま未払いが続くようであれば,今後の受診にも影響が生じてしまいます……。
患 者 :何だと!それは患者を脅しているのか?
①脅しているわけではありません。ただ,未払いが続きますと,今後,診療拒否させて頂く可能性があるということを説明させて頂きました。
②脅しで言っているつもりはありません。診療内容についての不満はしっかり担当医に伝え,対応させて頂きますが,保険診療では不満があるなしにかかわらず一部負担金を支払って頂くことが義務になっております。
診療に不信感を抱くと次から次へと疑惑が湧いてきます。医師には最善の医療を提供するとともに患者への報告も義務となっております。診療内容に不満があれば,改めて患者が納得するよう対応しなければなりません。①のような「診療拒否」という言葉を使うことで患者の怒りを買う可能性があります。②のように、まずは患者の思いを担当医に伝えること,そして改めて担当医からの説明があることを伝えます。そのあとで,患者には診療費の支払い義務があることも説明しましょう。