本年6月の閣議決定「骨太方針2022」には、「かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行う」と書かれました。これを受け、第8次医療計画等に関する検討会や社会保障審議会医療部会で、「かかりつけ医機能」の明確化等の議論が活発に行われています。私も、かかりつけ医機能の強化には大賛成です。
しかし、「日本経済新聞」や一部のジャーナリスト等は、上記決定を「かかりつけ医の制度化」と読み替え、かかりつけ医の登録制と人頭払いが既定の事実、不可避であるかのように論じています。例えば、高名な福祉ジャーナリストの浅川澄一氏(元日経記者)は、「かかりつけ医の制度化が骨太の方針に盛り込まれた」と書きました(『Wedge』2022年9月号:52-5頁)。
本稿では、そのような言説が二重に誤りである理由を説明します。併せて、2014年度に新設された「地域包括診療料」の意義を宇都宮啓氏(当時・医療課長)のインタビューを紹介しながら指摘し、今後それを大幅に拡充すれば、平時に「かかりつけ医機能が発揮される」第一歩になると主張します。