中央社会保険医療協議会調査実施小委員会は11月16日、医療経済実態調査の見直し案を了承した。医療機関等調査では単月調査を廃止するとともに、一般診療所の抽出率を引き上げ、分析結果の精度向上につなげる。
新型コロナウイルス感染症のまん延下で実施された前回調査では、できる限り直近の医療機関経営を把握する狙いで追加的に単月調査が実施された。2024年度診療報酬改定に向けて実施する次回実調ではこの単月調査は廃止。これに伴い、一般診療所の調査客体の抽出率を現在の1/20から1/15に引き上げ、主たる診療科別の分析などを行った際にも十分なN数を確保できるようにする。
医療機関の負担を軽減するための調査項目の簡素化や、早急な実態把握が求められる項目の追加など、メリハリを効かせた見直しも行う。
調査項目の簡素化では、「損益」における介護収益の内訳(施設サービス収益、居宅サービス収益、その他の介護収益)と税金の内訳(法人税、住民税、事業税)を廃止。その一方で、昨今の物価高騰の影響や看護の処遇改善による効果の把握が可能となるよう、▶損益の委託費の内訳に給食委託費と人材委託費を追加、▶損益の経費の内訳に水道光熱費を追加、▶病院調査票の基本データに「看護職員処遇改善評価料」の算定の有無を問う調査項目を追加し、算定の有無別に損益状況を集計、▶「看護職員等処遇改善事業補助金」の金額も把握し、集計上の工夫を検討―などを行う。
新型コロナ関係では、▶病院の「これまでの新型コロナウイルス感染症入院患者等の受入実績」、「これまでの新型コロナウイルス感染症の院内感染(クラスターの発生を含む)の有無」、▶一般診療所の「新型コロナウイルス感染症疑い患者の受入状況」―の各項目は有用性が少なかったことから廃止。代わりに新型コロナによるクラスター発生の有無に関する調査項目を新設する。