厚生労働省は11月17日の社会保障審議会医療保険部会に、「第4期医療費適正化計画」(2024〜29年度)の策定に向けた見直し案を示した。医療・介護の複合的ニーズがある高齢者へのサービス提供の推進や、エビデンスが乏しいとされる医療の適正化などで新たな目標設定を行うことなどを盛り込んだ。
見直し案は、(1)新たな目標の設定、(2)既存目標に係る効果的な取組み、(3)実効性向上のための体制構築―の大きく3項目で構成。(1)では医療と介護の複合的なニーズを持つ高齢者の将来的な増加を見込み、▶医療・介護の機能連携を通じた効果的・効率的なサービス提供の推進、▶心身機能の低下に起因した疾病予防・介護予防―を新たな目標として計画に位置づけることを提案。前者では、たとえば二次骨折などによる介護ニーズが生じることも多い高齢者の骨折に対して、急性期から回復期、在宅での介護や通院時の医療・介護の機能連携や適切な受診勧奨を推進することなどを想定している。
また、医療資源の効率的・効果的な活用を促すため、▶効果が乏しいというエビデンスがあることが指摘されている医療(急性気道感染症・急性下痢症に対する抗菌薬処方など)、▶医療資源の投入量に地域差がある医療(白内障手術、化学療法の外来での実施、リフィル処方箋など)―の適正化でも新たに目標設定を行う方針を打ち出した。
(2)では後発医薬品の使用のさらなる推進を目指して、▶後発医薬品に切り替えた場合の差額通知の実施やフォーミュラリ等による取組を推進、▶今年度中に設定予定のバイオ後発品の目標を踏まえて後発医薬品の使用促進に関する新たな数値目標を設定―することを提案。重複投薬・多剤投与の適正化では、第3期計画では15種類以上とされている多剤投与の基準を調剤報酬等に合わせて6種類以上に変更し、取組の対象範囲拡大を図る案を提示した。
(3)では、保険者協議会の設置を必須とした上で、医療関係者の参画を促し、都道府県・保険者・医療関係者が協力して医療費適正化に取り組む場とすることなどを提案した。