長神康雄(北九州中央病院呼吸器内科)
大森政美(戸畑共立病院リハビリテーション科言語聴覚士)
判型:A4判
頁数:18頁、動画1点
価格:1,650円(税込)
わが国では2021年の高齢化率が29.1%と超高齢社会を迎えており、高齢者肺炎(大部分は誤嚥性肺炎)の診療の重要性が高まっています。
以前は高齢者肺炎の治療といえば絶食でしたが、近年では絶食による低栄養・サルコペニアの増悪や口腔嚥下機能低下などが問題視されています。実際に入院2日以内の早期の食事摂取開始が予後を改善したという論文が報告されています。その一方で、高齢者肺炎患者の嚥下機能を評価し、食事形態を決定するための具体的な方法について記載されているものは、あまりありませんでした。臨床現場では言語聴覚士に評価を依頼する施設が多いと思いますが、言語聴覚士がいない施設はたくさんあります。
そのため我々は、嚥下機能評価に習熟していない医療従事者(医師、看護師、理学療法士など)でも実施できる簡易的な嚥下機能評価法のAssessment of Swallowing Ability for Pneumonia(ASAP)を開発し、本コンテンツにそのノウハウを記載しました。ASAPのスコアシート・実施マニュアルに加えて、動画も掲載しておりますので、医療従事者なら誰でも高齢者肺炎の摂食嚥下評価ができるようになります。
実際に高齢者肺炎を診療する急性期病院などの内科医師・看護師や理学療法士などは言うまでもありませんが、ぜひ医療機関の経営者の方々にも読んでもらいたいと思っています。
近年では国民所得に対する国民医療費の割合の増加が問題となってきています。高齢者肺炎患者に対して包括的チームで診療することで早期経口摂取可能になり、医療費の抑制(1人当たり20万円)につながったという報告があります。我々医療従事者は医療の質の向上は言うまでもなく、医療費削減にも取り組んでいく必要があると思っております。
本コンテンツが高齢者肺炎患者を治療する医療従事者の皆様のお役に立てれば幸いです。