胎生期の神経管から遊走する皮膚メラノサイトの定着過程での障害と考えられている。表皮基底層と真皮における限局性のメラニン沈着の増加によって,皮膚が褐色~青色に見える。
発症年齢は,生後間もなく~1歳と,思春期の2つのピークがある。
生後すぐまたは数カ月以内に,通常片側の頰,眼瞼,こめかみ,額に青~褐色の小斑点が多数集簇して生じる。重症例では三叉神経第3枝領域にもみられ,反対側に及ぶこともある。
眼の強膜や虹彩,眼底にも色素沈着を認めることが多く,眼球メラノーシス1)と言う。眼球以外にも,鼓膜,鼻粘膜,口腔内に色素沈着を認めることがある。
色素斑の分布により,Ⅰ軽度型(眼窩型,頰骨型,前額型,鼻翼型),Ⅱ中等度型,Ⅲ高度型,Ⅳ両側型,の4型に分類される。
生涯消えることはなく,思春期頃までは徐々に濃くなる傾向にある。思春期頃に急に濃くなったり,発症する遅発型もある。
月経周期や過労により色調が多少変化することがある。
異所性蒙古斑:点状集簇性ではなく,濃淡様々ではあるが均一な青色斑が染み出したような外観であり,褐色調のものはない。顔面にもありうるが,三叉神経第2枝領域に出てくるものは大抵太田母斑である。同部位であっても,類円形のくっきりした均一な青色斑の場合は,異所性蒙古斑であろう。しだいに濃くなれば太田母斑であり,薄くなってくるようなら異所性蒙古斑である。
皮膚が薄くてまだ日焼けしていない乳幼児期のうちにレーザー治療を行ったほうが,年長児や成人よりも奏効し,少ない照射回数で済む。
保険適用のあるQスイッチ付アレキサンドライトレーザー,またはQスイッチ付ルビーレーザーを,3カ月に1回の頻度で行う。いずれの治療も1歳未満の乳児期から局所麻酔テープ貼付やクリーム塗布(約1時間)で行うことが可能であり,生後2カ月以降で月年齢が低いほど,体動の抑制が行いやすく,恐怖心も残らず照射が容易である。
過度のエネルギー照射や頻度が高すぎると,瘢痕を生じたり,脱色素斑が残るため,十分に注意する。
瞼裂の辺縁から約5mm以内の眼瞼は,眼の中へレーザー光線が入り視機能への悪影響が懸念されるため,乳幼児期に局所麻酔だけで行うことは危険である。全身麻酔で眼球を遮蔽用コンタクトで保護して行うか,成長後に行ったほうがよい。
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