ここ数年で肺炎は日本人の死因の第3位となりました。肺炎により亡くなる方の9割以上が75歳超の高齢者で,その多くは誤嚥性肺炎が原因となっています。
高齢者の嚥下障害・誤嚥に対して,私たち耳鼻咽喉科医のみならず,地域医療や在宅診療に携わる医師は,どのようにアプローチすればよいのでしょうか。加えて,高次機能病院ではどのような検査を行い,治療法を決定すればよいのでしょうか。
この分野の第一人者である,聖隷佐倉市民病院・津田豪太先生にご教示頂ければ幸いです。
【質問者】
根本俊光 成田赤十字病院耳鼻咽喉科第一部長
加齢に伴う誤嚥性肺炎は増加の一途をたどっており,高齢者治療では重要なポイントとなっています。嚥下機能の低下した高齢者では,若年者に行うようなリハビリテーションは安定して行うことが難しく,どちらかというと誤嚥を防ぐ目的での食形態や姿勢の調整が治療の中心になることが多いです。
食事内容に関しては日々の生活で慣れたものが望ましいですが,実際には症例ごとに細やかな対応が必要です。一般的には肉などの咀嚼しにくいもの,パンやクッキーなどの乾燥しているもの,そして,カボチャのような粘着性が高い食物は摂取しにくいのでそのような形態を避け,なるべく均一な形態でトロミなどがあって口腔内でまとまりやすい食内容に調整することが望まれます。また,水や茶のようにサラサラした液体は誤嚥しやすいので,状態に応じてトロミ剤を付加する必要が出てきます。
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