侵襲性カンジダ症の原因菌として最も多いのはC. albicans,ついでC. glabrata,C. parapsilosis,C. tropicalis,C. kruseiが主要な病原性カンジダ属である
米国大規模サーベイランスにおいて,院内菌血症の原因菌のうち,カンジダ属は4番目と高率である
カンジダ血症の原因としては,カテーテル関連性血流感染,粘膜バリアー破たんによるfungal translocation,ほかの感染巣(心内膜炎,骨髄炎など)からの二次性血流感染が挙げられる
カンジダ血症患者においては,非特異的病変も含めると20%前後の頻度で真菌による眼病変が証明されているため,治療開始後早期から,眼科医による眼底検査の実施が推奨されている
カンジダ属は酵母に分類される真菌であり,200種以上存在すると言われている。通常は出芽によって生殖する,球形から卵形の単細胞真菌(細胞の長径は3~6μm程度)であるが,菌種によっては仮性菌糸を形成する(C. glabrataは仮性菌糸を形成しないため,それが低病原性に関連する)。
図1 1)に,1989~2009年にかけて,わが国で行われた剖検例における内臓真菌症の原因真菌別頻度を示した。カンジダ症は,全真菌感染の約30%を占めているが,これはあくまでも死亡例での成績であり,実臨床に占める割合はさらに高率である。侵襲性カンジダ症のリスク因子として,広域抗菌薬の使用,中心静脈カテーテルの使用,経静脈栄養の実施,ICU入室患者における腎代償療法,好中球減少,埋め込み式人工装置,免疫抑制薬・ステロイドの使用,抗癌化学療法,そして固形臓器移植などがある2)。1208例の侵襲性真菌感染のうち,カンジダ属は53%,アスペルギルス属19%,クリプトコックス8%,その他15%であり,移植後の発症時期はカンジダ属が103日,アスペルギルス属が184日,クリプトコックスが575日であった3)。
残り6,577文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する