▶まず,高齢者の転倒による腰痛の鑑別には,脊椎圧迫骨折が第一に挙げられます。
▶脊椎圧迫骨折は,80歳代の有病率が40%以上で,加齢とともに発生率が上昇する疾患であり,脊椎圧迫骨折の一択と言っても過言ではありません。
▶脊椎破裂骨折も鑑別のひとつに挙がります。受傷機転として,圧迫骨折は低エネルギー外傷であるのに対し破裂骨折は高エネルギー外傷とされていますが,高齢者で目撃のない転倒の場合には,比較的エネルギーの高い外傷も考慮したほうがよいと思われます。
▶また,臀部が痛いことも「腰が痛い」と言われる場合があるので,尻餅をついて動けないという主訴なら,大腿骨近位部骨折や脆弱性骨盤骨折も鑑別に挙げておくべきでしょう。