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日本紅斑熱[私の治療]

No.5172 (2023年06月10日発行) P.45

芦澤信之 (長崎大学病院感染制御教育センター/同大学大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座臨床感染症学分野/同大学病院呼吸器内科(第二内科))

泉川公一 (長崎大学病院感染制御教育センターセンター長/同大学大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座臨床感染症学分野教授)

登録日: 2023-06-10

最終更新日: 2023-06-06

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  • 日本紅斑熱は,マダニに刺咬されることで,マダニが保有するリケッチアの一種であるリケッチア・ジャポニカ(Rickettsia japonica)によって引き起こされる感染症である。潜伏期は2~8日,発症時期は4~10月にかけてが多く,大部分が西日本で発生している。2020年には国内で420例が報告されており,患者数は増加傾向で,感染地域の拡大も指摘されている。発熱,発疹,刺し口を三徴とし,頭痛,倦怠感,リンパ節腫脹を伴うことがある。刺し口の発見率は60~70%と報告されており,重症例では肺炎や脳炎を合併することがある。重症例の徴候として,肝機能障害や播種性血管内凝固(DIC)が挙げられ,国内での致死率は0.91%と報告されている1)。感染症法上,4類感染症に定められており,確定患者,無症状病原体保有者,死亡者を診断した医師は,直ちに最寄りの保健所に届け出が必要である。

    ▶診断のポイント

    野山に入るなどの行動歴や,刺し口といった身体所見が診断の手がかりとなる。同じリケッチア感染症であるつつが虫病とは臨床症状や所見が類似しており鑑別は困難であるが,本症では発疹が体幹部より手足などの末梢部に多い傾向が指摘されている。また,重複する点はあるものの,発症時期や発症地域にも異なる点がある。つつが虫病は10~12月と4~6月の2峰性の季節性を有し,日本紅斑熱は特に九州,つつが虫病は特に本州北部での報告が多い1)

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