▶高齢者の転倒後股関節痛は,90%以上で大腿骨近位部骨折と言われています。大腿骨近位部骨折は,年間20万人の患者が発生しています。脊椎圧迫骨折と並ぶ脆弱性骨折の代表であり,骨粗鬆症の治療の重要性を改めて感じます。下位腰椎の圧迫骨折では臀部痛を訴えることも多く,鑑別に挙げておくべきだと思います。恥坐骨骨折・仙骨骨折は大腿骨近位部骨折を鑑別に挙げたらセットで考えるようにしておきましょう。
▶大腿骨近位部骨折は,「関節内骨折である頸部骨折」と「関節外骨折である転子部骨折」にわけられます(次回で詳細に説明します)。初療には違いがありませんが,整形外科ではマネジメントが異なりますので,違いを明確にしてコンサルトできると整形外科とコミュニケーションが取りやすくなります。