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伝染性単核球症[私の治療]

No.5173 (2023年06月17日発行) P.49

忽那賢志 (大阪大学大学院医学系研究科感染制御学講座教授)

登録日: 2023-06-17

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  • 伝染性単核球症はEBウイルスやサイトメガロウイルスの初感染の際に呈する疾患であり,思春期以降にみられる。EBウイルスによる伝染性単核球症では発熱,咽頭痛,リンパ節腫脹などが特徴である。

    ▶診断のポイント

    主な感染経路はEBウイルスを含む唾液を介した感染であり,乳幼児期に初感染を受けた場合は不顕性感染であることが多いが,思春期以降に感染した場合には伝染性単核球症を発症することが多く,kissing diseaseとも呼ばれる。発熱,咽頭痛,白苔を伴う扁桃腺腫大や頸部リンパ節腫脹といった症状・身体所見は溶連菌性咽頭炎に似るが,溶連菌性咽頭炎と思ってアモキシシリンを投与すると高率に皮疹が出現するため,両者の鑑別には十分に注意を払いたい。

    一般に,伝染性単核球症では後頸部リンパ節腫脹がみられることが多いのに対し,溶連菌性咽頭炎では前頸部リンパ節腫脹がみられることが多い。また,肝機能障害や異型リンパ球がみられる点も,伝染性単核球症の特徴である。なお,伝染性単核球症様の症状を呈する感染症として,ほかに急性HIV感染症,トキソプラズマ症が挙げられる。

    EBウイルスの特異抗体にはVCA(virus capsid antigen)抗体,EA(early antigen)抗体,EBNA(EBV nuclear antigen)抗体,の3種類があるが,伝染性単核球症の診断には主にVCAおよびEBNAを用いる。VCA IgMが陽性でありEBNAが陰性であれば通常,EBウイルスによる伝染性単核球症と診断できる。EBNAが陽性であれば,EBウイルスに既感染の状態と考えられる。

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