胃瘻患者は,全国で約26万人いると推定されています(全日本病院協会平成22年度調査より)。嚥下機能が低下し,人はいつか必ず食べられなくなりますが,胃瘻栄養は食べられなくなったときの人工栄養の手段として,現在では主流の方法です。経鼻栄養や高カロリー輸液よりも管理しやすく,在宅サービスやデイサービスなどの施設サービスでも管理がしやすいことも,大きなメリットのひとつです。また,胃瘻栄養は栄養経路として消化管から吸収するので,点滴や高カロリー輸液と異なり,経口摂取と併用する場合も有用です。
胃瘻栄養は,在宅医療では人工栄養の方法として非常に有用ですが,患者は寝たきり状態がほとんどで重度の方が多いにもかかわらず,他の医療処置に比べて,在宅医療の診療報酬上は比較的優遇されていないのが現状です。今回は,胃瘻栄養患者の診療報酬に注目して説明したいと思います。