リンパ浮腫は,原因が明らかでない先天的なリンパ管形成不全等による原発性(一次性)と,がん治療後や外傷等に起因する続発性(二次性)に大別される。がん治療によるリンパ節やリンパ管の切除,放射線照射等の後遺症として,治療直後から数年,数十年後に発症することもあり,長期フォローアップが必要である。乳癌,婦人科癌,前立腺癌,悪性黒色腫,大腸癌,頭頸部癌等の様々ながん疾患に関連して発症することがある。
生涯にわたり日常生活に影響することがあるため,より早期からの診断,ケアの介入が望まれる。患者が身体的・精神的な健康状態,生活機能,社会性を維持できるようサポートする。
リンパ管系の輸送障害によるむくみ(高濃度蛋白の体液貯留),線維化による皮膚肥厚や硬化,脂肪肥大,易感染等の症状を呈することがある。進行度合いにより,むくみや皮膚病変の程度が異なる。
0期(潜在期):顕著な症状はみられないが,発症のリスクを有する
Ⅰ期:水分貯留(+),圧痕が残りやすい
Ⅱ期早期:線維化がみられるが,まだ皮膚は柔らかい
後期:線維化が増強し,圧痕が残りにくい
Ⅲ期(象皮期):皮膚硬化,脂肪沈着,過角化,乳頭様増殖,リンパ小疱,リンパ漏(瘻)等がみられることがある
全身性浮腫は両側対称性に,リンパ浮腫は主に片側性に発症するが両側にみられる場合には左右差があることが多い。リンパ管系の損傷部位により,四肢だけでなく乳房や外性器など体幹に浮腫が及ぶこともある。
他疾患による浮腫の可能性を除外後,リンパ浮腫を判別する検査およびリンパ循環の画像評価等を行う。
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