セルフケアとは,WHOの定義では「(ヘルスケア関連職の支援を得て,あるいは得ないで)自分,家族,コミュニティーの健康を促進し,疾病を予防し,そして健康を維持する,また,病気や障害に対応する能力」とされている。
在宅医療では,病状の急変や看取り,患者や家族の精神的ケア,患者・家族・多職種とのコミュニケーションなどに対し,1人で対応することが多い。そのため,自身の身体的・心理的ストレスが大きくなる。
また,在宅医療では患者に接するにあたり,個別性が重視される。そのため,経験を積むことは非常に重要だが,自分の経験だけでなく,ほかの人の経験を共有しつつ,自己啓発し,提供するケアの質の向上を図ることが必要である。
さらに自身の心身を鍛えることは,バーンアウトを予防する上で重要である。日常的に多くのストレスにさらされている在宅医療の現場に対応するための,セルフケア・セルフマネジメントについて解説する。
・前医からの病状説明が十分に行われていない。
・家族のトラブルに巻き込まれる。
・医師を含めて多職種チームがうまく機能しない(医師や看護師がうまくコミュニケーションをとれない,情報共有ができない,など)。
・病状・症状が刻々と変わり,それらの対応を時間に関係なく求められる。
・家族が病状の変化についていけず困惑し,その対応にも追われる。
・患者の病状悪化から最終的に迎える死を,何度も繰り返し経験する。
・暴言,暴力,セクシャルハラスメントなど。
・制度,家庭環境,経済的問題など解決できない課題。
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