2024年4月から始まる医師の時間外労働の上限規制への対応で、厚生労働省は「特定集中治療室管理料」等の医師の常時配置に関する施設基準と宿日直許可の関係を整理し、疑義解釈資料(その54)として7月24日付で地方厚生局などに事務連絡した。
「医師の働き方改革」によって、24年4月から医師の時間外労働(休日労働含む)は年間960時間(A水準)、または1860時間(特例水準)までに制限される。これに先駆け、医療機関では宿日直許可取得を目指す動きが出ている。宿日直許可を取得している施設で医師が宿日直に従事している時間は労働時間に算入されないため、医師不足を回避できるからだ。ただ、ICUなどを備える救急医療機関からは宿日直許可を取得し、宿日直を行う医師を治療室内に常時配置した場合も入院料の施設基準を満たすことができるのか、疑問の声が上がっていた。
今回の疑義解釈はこうした問いに答えたもので、①医療機関が宿日直許可を取得している、②宿日直を行っている専任の医師が常時治療室または医療機関内にいて必要な診療を行う体制を取っている(ただし、臨床経験等の医師要件がある場合はそれも満たす必要がある)―のいずれにも該当する場合は、医師の常時配置に関する施設基準を満たしているとみなす取扱いを示した。
対象となるのは、▶救命救急入院料、▶特定集中治療室管理料、▶小児特定集中治療室管理料、▶新生児特定集中治療室管理料1、2、▶総合周産期特定集中治療室管理料、▶ハイケアユニット入院医療管理料、▶脳卒中ケアユニット入院医療管理料、▶新生児治療回復室入院医療管理料―の各入院料。
ただし、今回の取扱いが恒常的な対応ではない点に留意が必要。疑義解釈では、宿日直許可とこれら入院料の施設基準における医師の配置との整理については、「改めて24年度診療報酬改定の過程で明確化する」としている。