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■NEWS 地ケアの直接入棟、他の入棟経路よりも医療資源投入量が多い傾向―入院・外来分科会

No.5184 (2023年09月02日発行) P.70

登録日: 2023-08-22

最終更新日: 2023-08-22

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診療報酬調査専門組織の「入院・外来医療等の調査・評価分科会」は810日、地域包括ケア病棟や療養病棟について議論した。地域包括ケア病棟では、救急搬送後に直接入棟した患者や緊急入院患者の医療資源投入量が他の患者よりも多いことが判明し、こうした患者の受入に対する診療報酬上の評価を求める声が上がった。

地ケアでは、誤嚥性肺炎や尿路感染症などによる高齢者の救急搬送の受入促進が大きな課題となっている。厚生労働省が示した患者の入棟経路別分析によると、救急搬送後に他の病棟を経由せずに直接入棟した患者と外来診療後に緊急入院した患者は、患者全体と比べ、①医療的ケアの頻度・必要性が高い、②診療報酬の包括範囲における医療資源投入量が多い―といった特徴があることが明らかになった。

津留英智委員(全日本病院協会常任理事)は、こうした患者の受入について、「看護師の加配などで対応している実態があり、それなりの評価が必要だ」と指摘。武井純子委員(社会医療法人財団相澤東病院・看護部長)は、「『在宅患者支援病床初期加算』などで評価する方法もあるのではないか」と提案した。

入棟患者における「短期滞在手術等基本料3」のみを算定する患者の割合が10%以上の地ケアの取扱いも論点となった。これらの地ケアは「短期滞在3」の算定患者がいない地ケアに比べ、家庭からの入棟患者の割合や自宅等に退棟する患者の割合が高い傾向が認められた。在宅復帰率などの施設基準を満たしやすくなっている可能性があり、委員からより詳細な分析を求める意見があった。

■療養の医療区分、「疾患・状態」と「医療処置」で医療資源投入量に差

「療養病棟入院基本料」では、同じ医療区分であっても、「疾患・状態」で該当した場合と、「医療処置」に該当した場合とでは、包括範囲内の医療資源の投入量の内訳や分布が異なることがわかった。

委員からは、「同じ医療区分の中でコスト構造にこれだけ差があるにもかかわらず同点数であることには違和感がある」(中野惠委員・健康保険組合連合会参与)と評価方法の見直しを求める意見の一方で、「現在の医療区分は医療資源投入量から見ると上手くバランスが取れており、基本的には大きく変える必要はない」(猪口雄二委員・日本医師会副会長)との慎重意見もあった。

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