在宅医療においては包括的な評価が重要である。在宅医療における評価において重要なポイントを示す。
①multimorbidityや原疾患に基づく二次障害などによる多様で複雑な病態の評価が必要である。
②多様な障害に伴う機能について適正に評価することが重要である。
③疾患や障害に伴う心身の苦痛を適正に評価することが重要である。
④疾患や障害,苦痛による暮らしにくさを体験しており,家族全体が暮らしの危機に直面していることが少なくない。
⑤これらによって,生活の質の低下や生きがいの喪失の危機にあることが少なくない。
⑥治療やケアの方針決定,意思決定の支援において,疾患のステージや障害の進行度,予後の予測が重要である。
⑦居宅という制約のある環境で,適切なアセスメントを行うための工夫が必要である。
在宅医療においては,「導入期」「安定期・慢性期」「急性期」「終末期」の各フェーズによって,アセスメントのポイントが異なる。
在宅導入期の初期の情報は,家族や医療機関,他職種から得られることが多いため,初回訪問までに情報を整理しておく。初回訪問時のアセスメントでは,メインのプロブレム以外にも,心身の問題を幅広くアセスメントする。初期の包括的なアセスメントは,基礎疾患や障害をベースに出現する急性疾患に対する予測的対応や急性期の適正な判断に有用である。病院からの紹介では医学情報は十分であるが,医学モデルから生活モデルへの情報の書き換えが必要になる。また,polydoctor, polypharmacyが多く,医学的情報を統合する作業が必要となる。地域からの紹介では医学的情報が乏しく,訪問診療開始後1~2カ月以内に計画的に全身の評価を終えるようにしたい。
安定期・慢性期では,栄養状態やフレイリティなどの全身状態の評価,褥瘡,転倒などの発症リスクなどの予防的アセスメントを行うとよい。
在宅患者の急性疾患は,基礎疾患による局所的,構造的障害が原因となることが多く,急性期の判断には,在宅対象者の急性期の疾患頻度とともに,背景因子を理解しておくことが重要になる。
終末期には,予後の予測,苦痛の評価,患者・家族の意思・嗜好の確認を行う。
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