兵庫県の勤務医が昨年5月に過労自殺した問題について、日本医師会の松本吉郎会長は9月6日の会見で「医師の団体である日医としても大変重く受け止めている。原因は様々なことが考えられると思うが、勤務医師の就労環境が背景にあるのは紛れもない事実」と述べ、「亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、ご家族に心からお悔やみ申し上げたい」と弔意を表明した。
松本会長はまた、「『過重労働の改善』という言葉だけでは全国の仲間たち、将来の若手医師を守ることはできない。日医としては今後も医療の質、安全を保ちつつ、医療DXや働き方改革の取り組みを強力に推し進めながら、今後このような不幸なことが起こらぬよう最優先で取り組んでいく」と述べた。
この問題は昨年5月、兵庫県神戸市の甲南医療センターに勤務する専攻医が自殺し、西宮労働基準監督署が今年6月、長時間労働により精神障害を発症したための自殺として労災認定したもの。病院側はこの件が報道された8月17日に会見を開き、「(病院にいた時間には)自己研鑽が含まれることもあり、過重労働をさせていた認識はない」との見方を示した。専攻医の遺族は8月31日、厚生労働省を訪れ、病院への調査を行い必要な是正勧告を行うことや、「医師の働き方改革」を進めるよう求める嘆願書を提出した。