在宅医療の現場で在宅中心静脈栄養法(home parenteral nutrition:HPN)1)を実施する機会も増え,それを安全に実施するための基礎知識や合併症対策が重要な課題となる。在宅では多職種連携により実施されるため,それぞれの職種の果たす役割について整理しておく必要がある。
在宅で静脈栄養を実施する場合は,患者・家族(介護者)の理解や協力が欠かせない。そのため,実際に在宅で実施が可能かどうかの評価が必要であり,また,医療・介護職の支援体制の構築は不可欠である。そのような条件が整った場合にのみ導入となる。
成人では中心静脈カテーテル(CVC)として,ポートタイプ(埋め込み式)や末梢挿入式中心静脈カテーテル(PICC)が多く使用されるが,そのほか輸液ポンプや輸液セット等を準備する。
在宅の現場では,医師の指導のもと訪問看護師が主として行う業務であり,医療者間でその役割の確認と分担を決める。具体的には,①CVCと輸液バッグ,輸液ルートの接続,②注入ポンプのセットアップと操作方法,③輸液と注入薬剤の注入方法,④輸液量の調整や側注方法,⑤ポート部穿刺方法,皮膚消毒法,固定法,ヘパリンロックの方法,等についてである。
持続投与法は24時間を通して投与する方法である。間欠投与法は6〜12時間かけて輸液投与を行う。
CVCの皮膚消毒は,消毒薬としてクロルヘキシジンアルコールまたはポビドンヨードを使用する。CVCドレッシング管理は,①滅菌されたパッド型またはフィルム型ドレッシングを使用する,②ドレッシング交換は週1〜2回,曜日を決めて定期的に行う,③CVC挿入部の発赤,圧痛,汚染,ドレッシングの剝がれ等を毎日観察する,等である。
輸液ラインは,曜日を決めて週1~2回定期的に交換する。脂肪乳剤の投与に使用する輸液ラインは,ライン洗浄とルート内に脂肪の付着がないことを確認するが,できるだけ24時間以内に交換する。
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