排尿障害とは,下部尿路機能の障害により排尿サイクルの異常をきたす状態を指す。膀胱,尿道(男性の場合は前立腺を含む),尿道括約筋が主に下部尿路機能を担っている。排尿障害は尿排出障害(狭義の排尿障害)と蓄尿障害にわけられ様々な症状を呈する。尿排出障害では尿勢低下,尿線途絶,排尿遷延,蓄尿障害では昼間頻尿,夜間頻尿,尿意切迫感,尿失禁などが代表的な症状である。また,排尿後の障害として残尿感,排尿後尿滴下などがある。
排尿障害は加齢とともに患者数や頻度が増加し,高齢者の多い在宅医療の現場でもQOLを損ない,介護負担を増やす大きな要因となる。そのため,問題となっている症状に重きを置くアセスメント,治療が重要となる。
直接的に健康を損なう排尿障害,器質的疾患の除外を行う。ただし,在宅医療では医療資源,患者の状態によりできない検査も多い。
炎症,結石,悪性腫瘍などの器質的疾患の除外に有用である。失禁のため尿検査ができないこともある。
カテーテルによる残尿測定も可能ではあるが,侵襲が大きい。ポータブル超音波検査装置にて,2方向(環状断・矢状断)で膀胱を描出し,環状断で長径・短径を,矢状断で前後径の距離を計測することにより,残尿量(mL)を長径(cm)×短径(cm)×前後径(cm)/2で概算することができる。おおむね100mL以下であれば問題ないと考える。
男性患者における前立腺癌の有無を確認するために行う。排尿障害において必須の検査ではあるが,在宅医療では年齢,患者の基礎疾患,日常生活動作から検査の恩恵を享受できるかを勘案する必要がある。
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