看取りとは,単に死を確認する作業ではなく,人が亡くなっていく過程,亡くなったことを受け入れていく過程,これらに寄り添ってケアし経験することである。適切な治療を受けても回復が難しく死別が近い時期のケア,主に死別前後の数週間のケアについてまとめてみたい。
看取りにおいて,住み慣れた自宅で最期を迎える場合,患者本人を中心に,周囲の家族,医療スタッフ,介護スタッフによるケアチームを形成することが多く,症状コントロールと予後予測の評価をしながら,それぞれの価値観を尊重し,患者中心のケアをマネジメントしていく。
病状変化へのアセスメントと迅速な対応,特に身体のつらさについて適切なマネジメントを行わなければならない。予測される症状や変化などの見通しを立てて,それを適切な時期に家族やケアチームに伝え,本人とケアチームの共通の目標を見つけておくことが重要である。
たとえば,臨終期となると患者の状態に合わせて処方内容は簡素化し,再検討が必要になることが多い。慢性疾患の治療や予防よりも,症状緩和を優先させるために投薬の優先順位をつけ,嚥下機能の低下に伴い口腔内崩壊錠への変更やゼリーやヨーグルトを使うなど,状況に合わせて現実的な提案をする。
看取りに向かうにあたり,あらかじめ起こる患者の身体変化,予測される経過について説明し,死亡確認の方法や準備まで,家族やケアチームに伝えておく。死亡確認の後は,死亡診断書を発行することも主治医の大切な仕事である。事前に死亡診断書(検案書)に関わる誤解がないように丁寧に確認する。
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