厚生労働省は10月5日、診療報酬調査専門組織の入院・外来医療等の調査・評価分科会に、2022年度診療報酬改定の影響検証調査結果の速報(23年度調査)を提出した。外来医療に関する調査では、「機能強化加算」の届出医療機関のほうが非届出医療機関よりも、書面による患者への説明などに積極的に取り組んでいる割合が高いことが明らかになった。
全世代社会保障法の規定に基づき、25年4月から「かかりつけ医機能」を担う医療機関には、患者の求めに応じて自院が担う「かかりつけ医機能」を書面交付等により説明する努力義務が課される。この制度改正を念頭に、外来医療の評価に関する調査では、書面による説明の実施状況が取り上げられた。
それによると、医療機関が書面で説明している内容で多かったのは「患者の病状」(56.3%)、「治療内容」(53.4%)など。「必要となる介護・福祉サービス」の説明も27.7%で行われていた。「機能強化加算」の届出有無別で比較すると、全体的な傾向に大きな差はないものの、いずれの説明事項においても届出有のほうが実施割合は高かった。一方、患者が書面での説明を望む内容は病状や治療内容が最も多く、医療機関が実際に説明している内容と概ね一致していた。
生活習慣病患者に対する診療報酬の算定状況では、脂質異常症、高血圧、糖尿病のいずれの患者においても「特定疾患療養管理料」の算定が7〜8割を占め、「生活習慣病管理料」の算定患者はわずか1%台にとどまっている。「生活習慣病管理料」の算定で困難なことでは、「療養計画書を作成し、患者に対して丁寧に説明の上、当該計画書に署名を受けること」との回答が最も多かった。
「一般病棟入院基本料等」における施設基準等の見直しの影響に関する調査では、次期改定で高齢者の救急搬送への対応が論点であることを踏まえ、救急搬送の実態を調べた。結果をみると、急性期病院等からの「下り搬送」の実施率は、特定機能病院や「急性期一般入院料1」の届出があり、高度救命救急センター/救命救急センターを持つ医療機関で高かった。これに対して「下り搬送」患者の受け入れ割合は「急性期一般入院料4〜6」や「地域一般入院料1、2」の算定病棟で高く、地域包括ケア病棟はポストアキュート患者の受け入れ割合が高い傾向にあった。