術前検査結果の告知に同意したものの,検査結果を聴いてショックを受け,告知の同意は無しにして同意書そのものを削除してほしいと申し出る患者もいます。
医 師 :術前検査の結果が本日届きましたが,HIV検査が「陽性」でした。
患 者 :えっ! 本当ですか? 知りたくなかったです。
医 師 :でも,同意書の検査結果告知有無欄には「有」に○をしていますよね。
患 者 :同意書はあまり読まずに深く考えもせず,「告知の有無の欄」の「有」にチェックしました。
医 師 :同意されていたので,結果を報告させて頂きました。
患 者 :先生! 同意は撤回するので,カルテから検査結果を削除してもらえませんか?
①検査の必要性と同意書をよく読んでチェックするように説明したはずです。今から「撤回してくれ」という要求には応じられません。
②当院では手術を施行するにあたって,他の患者や医療従事者への感染防止のため,ウイルス関連の検査を事前に施行しています。そのため皆さんに同意書を提出して頂いており,検査結果の告知の有無も確認した上,同意された方には報告しております。削除はカルテの改ざんとなることから受け入れられません。また,検査結果については絶対外部に漏れることはありませんので,ご安心下さい。
患者の中には,事例のように事前に十分説明したにもかかわらず,よく聴いていなかったり,同意書をよく読まず後になって文句を言ったり,困って泣きを入れてくる方もいます。医療機関としては,正当な手順を踏んで対応していますので,患者の要求を受け入れる必要はありません。しかし,①のように正論で対応するよりは,②のように検査の必要性と検査結果が絶対漏洩しないことを説明し,患者を安心させることが重要です。