筆者が2018年より開始した産婦人科領域における遠隔健康医療相談サービス1)から、活用事例シリーズの第10回目として、今回は「婦人科検診」について紹介したいと思います。
婦人科の定期検診には、主に子宮頸がん検診と乳がん検診があります。それぞれ20歳以上と40歳以上の女性に対して科学的根拠に基づいた推奨がされています。
子宮頸がん検診はHPVワクチンを接種していても受けることが推奨されており、前がん病変を早期に検知することで、妊娠前の治療ができたり、子宮摘出を避けることにつながったりします。しかし、中には自治体からの通知に気づいていなかったり、過去に嫌な経験があったりして、検診を何年も受けていない女性がいます。オンラインでは医師と対面で話すより物理的・心理的ハードルが低く、気軽に質問して頂けるため、検診受診のため背中を少し押してあげることができているように感じています。
乳がんは有名人の罹患や死亡のニュースなどでたびたび話題になり、20〜30代の若年層が不安を覚え、オンライン相談を利用することも少なくありません。出産後で授乳中の女性からもよく相談が寄せられます。検診の推奨年齢、妊娠・出産に伴う影響、検査方法の特徴の違いなど、オンラインでも説明できることはたくさんあり、ご自身での判断に役立つ情報を提供できています。
一方で、卵巣がんや子宮体がんに関しては定期検診が推奨されていません。これは、定期検診の実施によってがんによる死亡率を減少できるというエビデンスが確立されていないことや、偽陰性・偽陽性に伴う弊害、身体への負担の大きさなどが理由となっています。しかし、「婦人科検診」や「子宮がん検診」という言葉を聞いて「子宮体がんや卵巣がんも含まれているのでは?」と誤解を持っている女性は意外に多いものです。検診についてこうした正しい情報が広まることは、ヘルスリテラシーの向上や検診受診率向上につながると信じています。
【文献】
1)株式会社Kids Public:産婦人科オンライン. https://obstetrics.jp/
重見大介(株式会社Kids Public、産婦人科オンライン代表)[子宮頸がん検診][乳がん検診]