編集: | 塩田浩平(京都大学名誉教授) |
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判型: | B5変型判 |
頁数: | 160頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2011年07月06日 |
ISBN: | 978-4-7849-3210-8 |
版数: | 第1版 |
付録: | - |
従来「神秘」と言われてきたヒトの発生現象も、最近の研究の進歩によって徐々にその詳細が明らかになりつつあり、様々な発生現象に関わる遺伝子とその働きも解明されてきている。一方、産婦人科領域を中心とした臨床画像診断によって、これまでは直接目で見ることが難しかった胎内の胎児の様子がリアルタイムで観察できるようになり、また、新しいイメージングやコンピュータ科学の技術が胎児の体内の器官や組織の詳細かつ立体的な観察を可能にした。
発生現象は、時間経過とともに体や組織の三次元的な変化がダイナミックに起こる四次元的な現象である。そのために、わかりやすい写真や画像でその継時的変化を理解することが、発生を理解する上で不可欠である。
このアトラスは、ヒト胎児の初期発生と主要な器官の発生過程をマクロ写真、組織写真、マイクロX線画像、磁気共鳴(MR)画像、新しいEFIC画像、さらにコンピュータグラフィクスによって視覚的に表現した世界初の画像集である。ここに掲載した画像は、著者らが独自に撮像または作製したオリジナルであり、胎内におけるヒトの発生の全容とダイナミックな形態形成現象を理解するためのユニークな資料になると確信している。
本アトラスで撮像したヒト胎児標本は、京都大学大学院医学研究科附属先天異常標本解析センターに所蔵されるヒト胚子標本と、東京女子医科大学解剖学教室に所蔵されるヒト胎児標本であり、いずれも世界的に有名な標本コレクションの資料である。これまで両標本コレクションの樹立に尽力された多くの関係者の方々に深く感謝したい。
また、画像データの作成に協力された京都大学学術情報メディアセンターの舩冨卓哉博士と高橋三紀子さん、米国NIHのRajeev R Samtani氏とElaine S Lee氏に感謝する。
本アトラスに収載した画像データの多くは、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の「バイオインフォマティクス推進事業」に採択された「ヒト胚の形態発生に関する三次元データベース」(2005?2011年、代表者塩田浩平)の成果に基づくものである。支援いただいたJSTに深甚の謝意を表する。
最後に、このアトラスの企画から完成までの間、忍耐強く困難な作業に当たられた日本医事新報社の編集部に心から感謝する。
2011年5月
下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。