関節軟骨の退行性変化や力学的負荷の増大により,関節軟骨の変性を生じ,骨の増殖性変化や滑膜炎を伴い関節変形をきたす慢性,退行性疾患である。50歳以上で急増し,女性に多い。
荷重時,特に歩きはじめの膝関節痛が特徴的な症状であるが,進行すると安静時痛や夜間時痛も出現する。歩行するにつれて下肢痛が増強する場合は,腰椎疾患や血管性疾患の(併存の)可能性がある。診察上は,関節裂隙の圧痛,関節腫脹,可動域制限,廃用性の大腿四頭筋萎縮が認められる。またX線では,関節裂隙の狭小化,骨棘形成,骨硬化像が代表的な所見である。
すべての患者に対して,日常生活の指導を行う。正座やしゃがみ込み,階段昇降などは膝関節に強い負荷がかかるため,避けるように指導する。安静にしたほうが症状はおさまりやすいが,安静にしすぎると筋力低下により日常生活のレベルが落ちてしまう危険性もあるため,日常生活に必要な家事,買い物,通勤などは継続してもらうようにする。肥満がある場合は減量が症状緩和に有効であるが,5~10%程度の減量が必要とされている。X線上の進行度と臨床症状が一致しないことも多いため,両者を鑑みて治療方針を決定する。運動療法,装具療法,薬物療法を組み合わせて治療を行い,症状が改善しない場合は手術療法も考慮する。
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