政府は22日、健康寿命の延伸と経済成長に寄与する医療産業の創出を柱とする「健康・医療戦略」を閣議決定した。
同戦略は、かつて政府が「日本版NIH」構想と称していたもの。従来は厚生労働省や文部科学省など関係省庁に配分される科研費など医療関連の研究・開発予算を、健康・医療戦略推進本部が一元管理し、来年4月に発足する「日本医療研究開発機構」が司令塔となって実行に当たる。
戦略の中では、2020年頃までに達成する目標として、日本発の革新的新薬を創出する体制の整備・強化を通じて、「5年以内に革新的がん治療薬の創出に向け10種類以上の治験への導出」「認知症、うつ病等の精神疾患の根本治療薬候補の治験開始」などを掲げている。産業面では、健康増進・予防、生活支援関連の市場規模を現在の4兆円から10兆円に拡大。このほか、国民の健康寿命を1歳以上延伸することも目指す。
さらに、30年までの目標では、インフルエンザの万能ワクチンなど新ワクチンの開発や、WHOと連携した上でポリオ、麻疹の根絶・排除を達成するとしている。
政府は今後5年間をメドに目標の実現に向けて着手する方針。