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掌蹠膿疱症[私の治療]

No.5195 (2023年11月18日発行) P.53

葉山惟大 (日本大学医学部附属板橋病院皮膚科学分野病院准教授)

登録日: 2023-11-17

最終更新日: 2023-11-14

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  • 掌蹠膿疱症(palmoplantar pustulosis:PPP)は,手掌や足底に生じる無菌性の水疱,膿疱からなる疾患である。皮疹は水疱として生じ,膿疱へと移行する。前胸壁の痛みを特徴とする骨関節症状を伴うことがある。中年女性に好発し,喫煙者が多い。手掌という他者の目につきやすいところに好発するため,重症度に比して患者の生活の質が障害されやすい。

    ▶診断のポイント

    PPPの診断は臨床的に行う。PPPは「手掌と足底,あるいは,その何れかの部位に新旧の無菌性膿疱を多発する疾患である。膿疱に混じて水疱を同時期にみることがある。消長を繰り返しながら慢性の経過を辿る」と定義されている。

    感染症,他の性疾患,湿疹などを鑑別する。水疱,膿疱の鑑別にはダーモスコピーが有用である。鑑別が難しい場合は積極的に皮膚生検を行う。

    関節痛を伴うことがあるので,関節痛にも留意する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    PPPの治療は生活指導,悪化因子の除去,対症療法,にわけて行う。喫煙が悪化要因であるため,禁煙を指導することが望ましい。歯性感染や慢性扁桃炎などの病巣感染が原因となることがあるため,PPPが疑われる場合は歯科,耳鼻咽喉科への依頼も行う。

    PPP自体の治療は対症療法が基本となる。患者の症状や生活の質の障害度合いにより,複数の治療を組み合わせる。皮膚症状に対しては,副腎皮質ステロイド外用薬,活性型ビタミンD3外用薬,または両者の混合軟膏を使用する。頻回の通院が必要となるが,紫外線療法も有用である。病巣感染が否定でき,上記の方法で症状のコントロールが難しく,生活の質を著しく障害する場合は,生物学的製剤を含む全身療法の導入を検討する。

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