来年度診療報酬改定の改定率は12月15日、本体について0.88%引き上げとすることで決着した。薬価改定が約1%のマイナスとなる見通しであることから、全体では約0.1%のマイナス改定となる。同日、岸田文雄首相と武見敬三厚労相、鈴木俊一財務相が協議し、合意した。
診療報酬改定を巡っては武見厚労相と鈴木財務相が13日に協議。しかし大幅引き上げを求める武見厚労相と、引き上げに強い抵抗を示す鈴木財務相の隔たりは大きく、15日午後、官邸で岸田首相を交えた3者の協議に持ち越され、ようやく決着した。
改定率が決着したことを受けて日本医師会は15日夕、松本吉郎会長名でのコメントを発表、「日本医師会は、2024年度診療報酬改定に向けて、30年ぶりの賃金上昇・物価高騰への対応が必要だと主張してきた」と述べた上で、「政府・与党はじめ多くの関係者に実態を理解いただけたものと実感しており、必ずしも満足するものではないが、率直に評価をさせていただきたい」と政府・与党の対応に謝意を表明した。
さらに「診療報酬だけではなく、税制、補助金、支援金、さらには文部科学省からの大学病院への運営費交付金および私学助成金など、あらゆる手段もフル活用して、これまで三位一体の改革といわれていた「地域医療構想」「医師の働き方改革」「医師偏在対策」をはじめ、令和6年度からの医療提供体制に向けて、総力を挙げて取り組んでいくことが必要」と指摘。今後は、2040年を見据えてさらなる改革を進めていく必要があると強調、「日本医師会は国民皆保険制度の堅持と地域医療の一層の充実に向けて、今後も国民目線を持って全力で取り組んでいく」と表明した。