SUMMARY
デジタルヘルスの活用により,プライマリ・ケアにおける診療や業務を,より効率的かつ質の高いものにすることが期待されている。今後のプライマリ・ケアの発展に向け,デジタルヘルスの活用がますます広がる中,その概要や効果について理解しておくことは重要である。
KEYWORD
デジタルヘルス
情報通信技術(information and communication technology:ICT)や最新の革新的技術を活用することで,健康の促進や医療の質改善を図り,健康格差の縮小や医療の効率化,健康情報の共有化などが期待されている。
PROFILE
2011年広島大学卒業。医学博士。家庭医療専門医・指導医。総合診療専門医。日本プライマリ・ケア連合学会理事。ICT診療委員会副委員長。
POLICY・座右の銘
今日が一番若い!
「デジタルヘルス」という用語は,世界保健機関(WHO)のデジタルヘルスに関するガイドラインにおいて,健康や健康関連分野を支援するためのICTの使用(eHealth)に加え,モバイル無線技術の使用(mHealth),さらに最近では,ビッグデータや人工知能などの分野を含めた包括的な用語として説明されている1)。主なデジタルヘルスの例としては,オンライン診療を含む遠隔医療,人工知能,デジタル療法(治療用アプリ),ウェアラブルデバイス,PHR(personal health record)などが挙げられる。
デジタルヘルスを活用した次世代医療では,治療から予防や早期発見へ,標準治療から個別化医療へ,医療者主体から患者主体へと,医療が変化していくと考えられている。デジタルヘルスを活用することで,プライマリ・ケアをより身近に,より個別的に提供することが可能となり,健康の促進や医療の質の改善,健康格差の縮小などが期待されている。