政府は12月22日、2024年度予算案を閣議決定した。一般歳出における社会保障関係費の総額は37兆7193億円となり、23年度予算比で8506億円(2.3%)の増加となった。年金スライド分を除いた、高齢化による自然増は3700億円程度。概算要求時の5200億円程度から1500億円程度削減された。
厚生労働省所管の一般会計の総額は33兆8191億円(23年度当初予算比2.0%増)となった。このうち社会保障関係費は33兆5046億円(2.1%増)で、内訳は、「年金」が13兆3237億円(2.4%増)、「医療」が12兆3532億円(1.0%増)、「介護」が3兆7288億円(0.9%増)―など。
医療・介護関連分野では、(1)医薬品等のイノベーションの推進、(2)医療・介護におけるDXの推進、(3)地域医療・介護の基盤強化の推進、(4)健康づくり・予防・重症化予防、認知症施策の推進等、(5)感染症対策の推進・体制強化―の5項目を重要施策に位置づけた。
その主な内容をみると、(1)では医薬品・医療機器等の実用化促進、安定供給、安全・信頼性の確保で19億円を計上し、①希少疾病用医薬品指定の早期化・拡大、②後発医薬品の信頼性確保のための体制・取り組みの強化―などを推進。(2)では、医療情報の活用促進のための情報の標準化や、科学的介護推進のためのデータベースの機能拡充などの経費として30億円を計上した。
(3)では、地域医療介護総合確保基金等を活用した医療従事者確保への支援や、かかりつけ医機能が発揮される制度の円滑な施行に向けた施策の推進、医療従事者の勤務環境改善に向けた働き方改革の推進―などの経費として884億円を計上。(4)では、①認知症施策(134億円)、②がん対策、循環器病対策(406億円)、③肝炎対策(1232億円)、④難病・小児慢性特定疾病対策(1642億円)―などに取り組む。(5)では、次なる感染症に備えた体制強化のために77億円を確保した。
物価高騰や賃金の上昇に対応できるよう、診療報酬本体を0.88%引き上げ、このうち0.61%を看護職員、病院薬剤師などの医療関係職種のベアに充当。薬価は0.97%、材料価格は0.02%それぞれ引き下げる。介護報酬改定は1.59%引き上げ、うち0.98%で介護職員の処遇改善を実施。残りの0.61%を介護報酬の引き上げや介護職員以外の処遇改善に充てる。障害福祉サービス等報酬は1.12%引き上げる。