いい新年を迎えられましたでしょうか。20年ほど前から、元旦には近所のお宮さん5つを2時間ほどかけて歩き巡っているのですが、今年は最高に暖かかったです。今回は隠居の健康法について、まず歩行から。
昨年の暮れに、厚労省から「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(案)」が発表された。まずは歩くことで、60歳以上が1日4000歩、それより若い人は6000歩の速歩が推奨されている。それにプラスして家事や仕事での歩行が2000歩ほどあるので、それぞれ6000歩と8000歩になる計算だ。
現役時代からできるだけたくさん歩くことを心がけていた。そのために、朝の通勤時には職場から2つ前の駅で降りて歩いていた。スマホ計測の歩数を記録していたのだが、毎年コンスタントに、1日あたりおよそ1万歩であった。しかし、引退したら家にいるので、どうしても少なくなりそうだ。
それを解消するために、朝のラジオ体操を日課に取り入れた。毎朝6時キッカリに家を出て、ちょうど30分で花博記念公園鶴見緑地の会場に着く。そこで10分間のラジオ体操をして、帰りはちょいと遠回りして35分歩く。それでおおよそ8000歩になるから、健康ガイドが勧める1分あたり100歩のスピードはクリアしている。そのうえ早起きになるから一石二鳥だ。
1日あたりの歩数はというと、昨年が1万1000歩、今年が1万2500歩であった。家の中ではスマホを持ち歩いていないから、実際の歩数はこれに2000歩を足した数になるはず。もちろん天候不良で歩けない日もあるのだから、予想以上、われながらあっぱれと誉めたくなる数字である。
遊びや仕事で旅行に出ると、特に意識せずとも普段以上によく歩く。それにプラスして、できるだけラジオ体操も欠かさない。ホテルの部屋は狭すぎるので、近くにあるラジオ体操会場を「全国ラジオ体操連盟」のHPで探すのがルーチンになっている。今年は、真宗大谷派金沢別院、上野公園、石垣島などで参加したのがちょっと自慢。
ラジオ体操から戻ると、農作業着に着替えて畑に直行である。どれくらい畑仕事をされるんですかとよく聞かれるが、春から秋の農繁期で1~2時間、冬の農閑期は何もしない日からせいぜい30分といったところだろうか。もちろん、特別な作業のある日は半日以上も没頭することがある。
痩せられましたか?と聞かれることが多くなった。後で述べるように、体重は現役時代よりも減ったとはいえわずかである。なので、見てわかるほどではないはずだ。しかし、自分で鏡を見ても上半身が引き締まった感じがする。これはおそらく農作業のおかげではないかと考えている。
広い面積を耕す時は耕運機だが通常は鍬を使うことにしているし、けっこう重い物を持ち運ぶことも多い。それがいいのだ。どの程度の効果があるのかはよくわからないが、他に思いあたることがないから、きっとこのおかげに違いない。
農作業は、身体的だけでなく心理的にもすごくいい。ベストセラーになった『庭仕事の真髄─老い・病・トラウマ・孤独を癒やす』(築地書館)という本がある。サブタイトルにあるように、ウェルビーイングのためには庭仕事が最適だ。もちろん、ここでの「庭仕事」には農作業も含まれている。
土と戯れているだけで幸せな気持ちになれる。蒔いた種から芽が出ればうれしい。作物ができればなおさらだ。とれたて野菜のフレッシュ感は筆舌に尽くしがたく、なにしろ美味しい。自分で作ったものを食べる満足感や贅沢感は半端ではない。ホンマに幸せな感じがするのである。
運動不足と並んで心配だったのは体重増加である。お菓子を食べるのが大好きだ。職場にはお菓子を置かないことにしていたので、間食をしようにもできない。だが、家にはいろいろな種類のお菓子を買い置きしてある。なければ我慢できるが、あったら我慢できない性格なので、ずっと家にいると菓子太りしてしまうに違いない。
拙著『(あまり)病気をしない暮らし』(晶文社)に詳しく書いたことがあるのだが、何を隠そう、私は「ダイエット入門の達人」である。新たなダイエット法を取り入れることにした。それはプチ断食ダイエット。
16時間断食をすれば何を食べてもいいという。けれど、それはちょっときつすぎる。調べてみると14時間でも効果があると書いてある。それならばできそうだとスタート、効果はてきめんだった。
1カ月以内に2kgほど体重が減って、ほぼそのままキープできている。何も我慢せず、朝からお菓子を食べたりしているのに。オートファジーが活性化されるとか言われているが、結局のところ、時間が短くなると食べる総量が減る。個人的にはその影響が大きいと判断している。
農作業もプチ断食も現役で仕事をしている間は難しいでしょうな。と、隠居ならではの健康生活を楽しんどります。