診療報酬調査専門組織の入院・外来医療等の調査・評価分科会は1月17日、看護職員などの医療関係職種の賃上げについて引き続き議論した。この中で厚生労働省は、「初再診料等」に上乗せを行っても賃金増率が1.2%に満たない無床診療所について、追加的な加算を設ける救済策を提案し、大筋で了承された。
政府は医療関係職種の賃上げについて、24年度に2.5%、25年度に2.0%のベア実現を目標に掲げており、診療報酬では賃上げ税制の活用を前提に2.3%分の対応を行う。無床診療所については、「初再診料」と「在宅患者訪問診療料」に賃上げに必要な点数が加算の形で上乗せされる見通し。その際、点数設定を各医療機関が必要とする点数の中央値で一律(「初診料」6点、「再診料」2点など)に設定すると、加算算定後の賃金増率が目標値の2.3%を大きく下回る施設が生じることが課題となっていた。
そこで厚労省は賃金増率1.2%を最低ラインに位置づけ、これを満たせない無床診療所を対象に追加的な加算を設定することを分科会に提案した。「初診料・在宅患者訪問診療料」に対する加算(8点〜64点までの8点刻み)と「再診料」(1〜8点)に対する加算を組み合わせた8種類の算定区分を設け、対象施設が選択する仕組みとする。
同省が賃金増率1.2%未満の149施設で行った試算によると、全体の6割弱に当たる85施設が最も低い「評価1」(「初診料・在宅患者訪問診療料」8点、「再診料」1点)の算定で賃金増率1.2%を達成できる見込み。その一方で、最も高い「評価8」(「初診料・在宅患者訪問診療料」64点、「再診料」8点)の算定が必要な施設も11施設あった。
訪問看護ステーションについても、「訪問看護管理療養費」に中央値の780円を一律に上乗せしても賃金増率が1.2%に満たない事業所を対象に、10円から500円までの18種類の追加的評価を設けることを提案した。
分科会における検討は今回で終了し、これまでの審議内容を近く開催される中央社会保険医療協議会の診療報酬基本問題小委員会に報告する。その後の議論は総会に引き継がれる。