【質問者】千葉伸太郎 太田総合病院記念研究所附属診療所太田睡眠科学センター所長
【好酸球性副鼻腔炎には難治症例が存在するが,新薬である分子標的薬が大きな効果を示している】
好酸球性副鼻腔炎は両側の鼻内に多くの鼻茸ができ,鼻閉,嗅覚障害をきたします。副鼻腔CTで篩骨洞優位の陰影があり末梢血中好酸球%が高値で,気管支喘息,アスピリン喘息やNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)過敏症を合併していることが多い疾患です。
副鼻腔炎は良い手術(内視鏡下鼻副鼻腔手術)を行うことで,多くの症例は治癒ないしは症状の改善が認められます。しかし,好酸球性副鼻腔炎は,手術を行ってもすぐに再発の可能性のある,難治性の副鼻腔炎です。特に末梢血中好酸球%の高い症例や喘息合併症例の好酸球性副鼻腔炎重症例では,再発することが多いとされています。
以前は手術後に嗅覚障害の悪化やポリープの再発,好酸球性ムチンの増悪があると,内服ステロイドでコントロールを行っていました。しかし,内服ステロイドの長期使用は,副作用を考えると推奨できません。今までは「仕方がない」「他に方法がない」と内服ステロイドを漫然と使用してきた症例もありました。そのような状況下で新規に登場したのが,IL-4受容体(IL-4Rα鎖)をブロックする分子標的薬であるデュピルマブ(デュピクセント®)です。
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