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耳硬化症[私の治療]

No.5206 (2024年02月03日発行) P.46

山本和央 (東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科学教室講師)

登録日: 2024-02-05

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  • 卵円窓前方の小溝(fissula ante fenestram)から海綿状骨増殖と骨硬化性病変が生じ,これがアブミ骨底板に及ぶと,アブミ骨が固着して可動性が不良となり,難聴を生じる疾患である。遺伝的要因が関連する場合もあるが,発症原因は不明の後天性の疾患である。白人に多いが,日本人には少なく人種差がある。両側になることも多く,女性にやや多くみられ,発症は成人以降に多い。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    主な症状は,片側もしくは両側の難聴である。耳鳴を伴うこともある。初期は耳閉感で気づくことも多く,難聴は徐々に進行する。女性では妊娠を契機に聴力が悪化することがある。

    【所見】

    鼓膜所見は正常なことがほとんどであるが,稀に鼓室岬角粘膜の血管が充血し,鼓膜を通して中央部が赤く見える所見(Schwartze sign)が認められることもある。

    聴力検査では基本的に伝音難聴を示す。初期には低音域の気導閾値が上昇し,高音域に比較して低音域の気骨導差が大きい伝音難聴(stiffness curve)を呈する。2kHzの骨導閾値が他の周波数の閾値よりも15~20dBほど上昇するCarhart notchが認められることが多い。アブミ骨の固着が高度になると聴力は悪化し,病変が進行して内耳まで影響が及ぶと骨導閾値も上昇して混合性難聴を呈するようになる。ティンパノグラムはAs型を示すことが多く,耳小骨筋反射は消失する。

    側頭骨CTにおいて卵円窓前方に骨吸収像(脱灰像)を認めることが多く,耳硬化症の特徴的な所見である。進行例では内耳骨胞の蝸牛周囲に骨吸収像を認めるdouble ring signを呈する。CTでのこれらの骨吸収像は耳硬化症患者の約70%でみられ1),この所見を認めれば診断はほぼ確定的である。片側の難聴で対側耳は難聴を呈していなくても,CT上は両側に骨吸収像が認められることもあり,CT上脱灰像の所見があってもその時点で必ずしも難聴を生じていない場合もある。

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