2024年度診療報酬改定で在宅医療については、在宅医療を提供する医療機関の裾野を広げるために「在宅療養移行加算」の見直しを行う一方、訪問診療の回数は多いが看取りの実績が少ない医療機関などには適正化のメスが入る見通しとなった。
「在宅療養移行加算」は在宅療養支援診療所以外の診療所による訪問診療を評価する報酬。24時間の往診・連絡体制の確保を求める「加算1」(216点)と、往診要件を緩和した「加算2」(116点)がある。
1月31日の中央社会保険医療協議会に提示された個別改定項目案によると、24年度改定では同加算の算定対象施設を病院にまで拡大する。さらにICT等の活用により、在支診等と連携して24時間の往診・連絡体制を整備した場合の算定区分(新加算1、3)を新設し、4区分の評価体系に再編成する。見直し後の「新加算1、3」では現行の「加算1、2」(見直し後は「新加算2、4」に移行)の要件に加え、患者の診療情報や急変時の対応方針等の情報について、①定期的なカンファレンスの開催、②ICT等を活用して連携先医療機関が常に確認できる体制の整備―のいずれかの方法で連携先医療機関に提供していることを求める。
これらの医療機関と連携する在支診等が往診対応した場合の評価も設ける。具体的には在支診等が、在支診等以外の医療機関が訪問診療を行っている患者の急変時に往診した場合には新設の「往診時医療情報連携加算」を算定する。算定のためには、連携する在支診等以外の医療機関と定期的なカンファレンスやICT等の活用などにより、最新の診療情報を確認できる体制を整備する必要がある。
訪問診療回数の多い医療機関への対応では、「在宅時医学総合管理料」と「施設入居時等医学総合管理料」において、単一建物診療患者の数が「10〜19人」、「20〜49人」、「50人以上」の場合の評価を新設。訪問診療の算定回数が一定数を超える医療機関については、単一建物診療患者の数が10人以上の場合の評価を減額する措置を設ける(看取りの件数等が基準を満たす場合は適用除外)。患者1人当たりの訪問診療頻度が高い在支診等を対象にした「在宅患者訪問診療料」の減額措置も新設する。